思いの詰まった消毒ポイントの話

昨日、ウチの社長が「あそこの消毒ポイントって何で出来たか知ってる?」と突然の質問がありました。

そこは、いつも何気なく使っている「JAひまわり」西部営農センターの片隅にある「消毒ポイント」のことだ。

 

「全然、知りませんけど・・。あそこって結構前からありますよねー。また、何で急にそんな話を?」

と答えると社長が

「実は、さっき家畜保健所の先生から電話があって、消毒ポイントができた経緯を教えてもらえないですか?」って言われてさー」

 

「えっでも何で社長のところに電話があったんですか?」

 

「実はあれができるのには俺が絡んでたんだ。だからだと思うよ。」

その後、消毒ポイントができた経緯を教えてもらいました。

 

経緯はこんなかんじです。

当社のある豊川市は「JAひまわり」といういわゆる農協があります。私たち畜産農家と関わりが深いのは東部営農センターの畜産課で、エサなどはその営農センターを経由し、一部の農家にそこから配送されていました。もともと、東部営農センターには消毒ポイントはあったが、当社から数百メートルのところにある西部営農センターには畜産課もなく、消毒ポイントもなかったそうです。

 

そんな中、平成26年2月愛知県で「PED(豚流行性下痢)」が発生した時、ウチの社長は「ここは国道1号線と23号線という幹線道路に囲まれており、関連のトラックや車が多く通っている。いつウイルスが入ってきてもおかしくない。西部営農センターに消毒ポイントを作ればウイルスの侵入を防げるのではないか?ぜひ、作ってくれないか?」と相談したそうです。それを聞いたJAひまわりは「農家の安全のためなら」とあの消毒ポイントを作り「畜産農家に行く際には消毒をする」と決めたそうです。そしてそれ以来、その消毒ポイントを地元の畜産農家も無料で使えるように開放してくれています。

 

社長の話によると、家畜保健所の先生は、その消毒ポイントの現状も知りたかったようで「その消毒ポイントの維持費や材料費はどこから出ているのですか?多分、JAさんですよね?JAさんと関係が深い農家さんが使うならいいけど、あまり関係が深くない農家さんにも無料で解放しているのに不満とか出ないんですかね。」とのことだったそうです。

 

社長は「ウチは何とも思ってないけど、気になるなら直接JAひまわりに聞いてみたら」とJAひまわりの担当者の連絡先を教えてあげたそうです。

 

そんな話をしていると社長の携帯に家畜保健所の先生から電話がかかってきました。

先生は「今、JAひまわりの方とお話をしたのですがとても感動しました。私が、先ほどの質問をしたら担当の方が『JAは農家を守ることが重要な仕事です。関係が深い農家にだけ病気が発生するわけではありません。関係が深くない農家で病気が発生しても、すべての農家に影響があるんです。すべての農家を守るためにJAが協力すること、そこにお金を使うことに問題がありますか?農家がなくなればJAは成り立たないですから』と言われました。農家とJAの繋がりと思いで出来ているんですね。」とのことでした。

 

その後、電話を切った社長は「でもさー、俺が要望しなかったらできてなかったけどなー。エサやりに行ってくるわー。」と少し嬉しそうに事務所を出て農場に行きました。

 

私は、そんな、みんなの気持ちがこもった『消毒ポイント』で消毒したら豚コレラのウイルスも絶対撃退できると信じています。

今日もしっかりあの『消毒ポイント』で消毒させてもらいます。

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コメント: 1
  • #1

    いとうまさこ (土曜日, 13 4月 2019 17:28)

    豚コレラが地域に落ちて緊張が続く毎日です。地域防疫を限りなく高めたい今をどう動くか?を考えていた時に�農協さんの取組が浮上しました。豊川の農家さんへ行く際には必ず消毒ポイントに寄ることがルールになってますが。その経緯を知らずにいました。�農協さんの素敵な心意気に感動しました!管内の他の地域でも是非取り組めたらと思います。